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白夜の官能小説

官能小説、アダルト小説のようなものを、あくまで趣味で書いています。あくまで趣味なので、厳しいことは言わないでね。

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「大富豪、時々探偵。  ~天使の素顔~」01

ケタ外れの大金持ちで、仕事嫌いの自由人、おまけに手のつけられない部類の女好き。剣之助はそういう性格から、親譲りの巨大企業を幼馴染みの川添に託し、自分は巨額の大株主となり、好き勝手に、自由奔放に生きている。そんな剣之助の暇つぶしが探偵稼業だ。



駅前のカフェで待っていると、その男はやってきた。剣之助が会社を任せられる幼馴染みで親友の川添が話していた通り、実にさえない男だった。
「ある女性の私生活を調査して欲しいのです。」
男は春日正男といった。髪は七三で、背が小さく、それに合わせたように顔の作りも小さい。印象が薄い感じがして、着ているスーツも何だかさえなく見える。声も小さく自信が無さ気で、終始おどおどしているような感じがする。
「その女の写真はお持ちですか?」
春日はかばんから一枚の写真を取り出した。体にフィットした濃紺のスリムパンツに、ウエストをキュッと絞った清楚な純白のシャツ。背筋をピンと伸ばし、キリッとした瞳でカメラに微笑んでいる。大きな瞳をクッキリとアイラインで強調し、キュッとすぼめた唇は淡いピンク色の口紅で丁寧に輪郭が描かれている。胸元まで自然なカーブを描く髪は、バストの位置で不自然に方向が変わる。清楚な白いビジネスシャツで隠した乳房は、薄めのパットを差し引けば、乳首がツンと上を向いた大きめのお椀型か。年齢は20代半ばだが、品の良さと愛らしさは確実にいい女の道を歩むタイプだ。







「どうです、彼女。天使でしょう?」
春日が剣之助の顔を覗き込むようにして満面の笑みで言った。剣之助は一瞬驚いたが
「あ…まあ、美人ですね。でも、どうしてこの女性の私生活を知りたいと?」
春日はコーヒーをひと口すすると、ふう、と小さく溜息をついた後で話し始めた。
「彼女、我が社の重役に見染められて、ゆくゆく結婚をします。要するに、あと数カ月もすると、彼女は重役に処女を捧げてしまうのです。」
そう言って春日は再びコーヒーに口をつけ、残りを一気に喉に流し込んだ。剣之助はあっけにとられていた。
「へー、彼女、処女なんですね?どこでその情報を?」
そう問いかけると、春日はなぜか突然怒ったように剣之助を見て、大声を発した。
「処女に決まってるでしょ、こんな汚れのない美しい人が!」
数人いたカフェの客が「処女」という言葉に驚いて一斉にこちらを見たので、剣之助は本能的に頭を低くして視線をかわした。
「ちょ、ちょっと、興奮しないで。」
「す、すみません…」
春日は大きく深呼吸をした。
「清らかな今の彼女のことを、これからも大切な思い出にしておきたいんです。清らかな日々の様子を、これからも宝物にとっておきたいんです。」



“まったく男ってのは夢みがちだ。”と剣之助は思った。どんなに清純そうに見えたって、私生活はドスケベでド淫乱な女なんて、巷に山ほどいる。“
ロマンチストなのもはなはだしい。”本来ならそう言ってやるべきだったのかもしれない。しかし、目の前の春日には、そういった率直な気持ちが言えなかった。井川和香を語る春日の瞳が、少年のように澄んでキラキラと輝いているからだ。



春日と別れた後、剣之助は川添に連絡を入れた。
「おう、川添クン、がんばって仕事しておるかね?」
「よう、暇人探偵。」
「ところで今回の調査費用なんだけど、そんなにかからないような気がするよ。」
「そうか、それは安心した。で、いくら用意すればいい?」
「とりあえず2000万くらい都合つけてくれる?それで足りると思うから。」
「やれやれ。」



春日から依頼を受けてからひと月が経った。
「さて、準備は整った。汚れなきバージン天使ちゃんの日常でも覗いてみますか。」
そう独りごとして、剣之助はモニターのスイッチを押した。このプロジェクトにあたり、さえないが心は純なサラリーマン春日いわく、汚れなきバージン天使ちゃんこと井川和香の日常を観察することがまず第一だ。和香が正真正銘のバージン天使ちゃんかどうかなんて、現状の私生活を覗いてみれば90パーセントは判明する。
剣之助が見つめるモニターには、和香の部屋に取り付けられた数台のカメラからの映像が映し出されていた。



行動はすでに一カ月前から行われていた。まずハッカーが施工会社のネットワークに侵入し、和香の住むマンションの電気配線図とセキュリティシステムの組織図を入手した。次に和香の部屋に接する世帯、要するに上下左右斜めに暮らす計8世帯の趣味嗜好、行動予定などを調査し、モニター当選というふれこみで豪華食事や豪華一泊旅行、豪華テーマパーク招待などへ、揃って一斉に家を開けるように策略をした。壁にカメラを埋め込むにはドリルやグラインダー類を用いる。特殊工作用の振動が少ない機械を用いるのだが、それでも念には念を入れてという考えからである。当の和香はと言えば、何カ月も前からその日は婚約者とゴルフに出かける予定が判明していた。
当日、4人編成の部隊は周囲の世帯が出払ったことを確認すると、首尾よく電子式のドアノブを解除し、室内に散らばると黙々と作業を続けた。ドリルで壁の数カ所を破壊し、天井パネルに細工を施し、埋め込み式の高性能カメラを数カ所に取り付けると、何もなかったかのように見事に内壁を元通りに復元した。電源はカメラの影響で電気料金がかさ上げされることを想定して細分化し、留守にしている8つの世帯から均等に取り分けられるように電気配線を複雑化する。万一、和香が盗聴避けの電波探知機などを持っていてもバレることがないよう、部屋を行き交う電波を乱数化して探知機自体の把握能力を麻痺させ、携帯電話やラジオといった特有の電波性質だけが通り抜けられるようにした。4人編成の部隊は終始言葉を交わすことなくスムーズに任務を終えると、わずか3時間弱でその一室を何事も無かったように復元して去っていった。







★ 「大富豪、時々探偵。  ~天使の素顔~」 02につづく ★
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白夜

白夜 -hakuya-

Author:白夜 -hakuya-
アマチュア官能小説家


39才男性
都内某所にて
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普段は好感のもてる清潔な
そこそこイケメンです
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