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白夜の官能小説

官能小説、アダルト小説のようなものを、あくまで趣味で書いています。あくまで趣味なので、厳しいことは言わないでね。

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「大富豪、時々探偵。 ~放蕩夫にお仕置きを~」16

この手の事件は噂となってまたたく間に人づてに伝わり、夜のクラブはもちろん、レストラン、ホテル、経営者サークル、取引先企業など、あちらこちらでストライク電器社長・仁科春樹の愚行と赤っ恥は語られていった。

問題の青年実業家の存在について憶測が飛び交ったが、その男の正体は定かになっていない。受け渡しされた3000万円は、後日、隠れるように店に来た仁科が、鞄ごと雪乃に渡したそうである。
「そもそも原因はお前なのだから、お前が預かれ。そして、あの青年実業家を見つけ出して返すんだ。わかったな!」
雪乃は空いた口が塞がらなかったという。

一連のうんざりすることがあって、雪乃は店から休養をもらった。復帰のめどは立っていないという。それどころか店のマネージャーも連絡が取れないでいるらしい。同僚の女性達は「雪乃ちゃん、あの3000万円を持って逃げしたのよ、そうに決まってるじゃない。」と噂しているという。

唯一、雪乃を見たという同僚の女性がいた。海外でのショッピングツアーの帰りに成田で彼女を見かけたらしい。
「間違いなく雪乃ちゃんだった。それに、間違いなく例の3000万円が入った青年実業家の鞄を持っていた。」
と言っている。
持ち逃げの噂は、ついに「海外逃亡」にまで発展していた。







雪乃がホノルル空港の到着ゲートに着くと、スーツを着こなしたファッションモデルのような黒人紳士が流暢な日本語で「失礼、雪乃様でいらっしゃいますか?」と話しかけてきた。
リムジンは雪乃を乗せると、別名「ピンク・パレス」と呼ばれる老舗の高級ホテル「ロイヤルハワイアン」へと走り出した。まるで狐につままれているような感覚で豪華なホテルのロビーに入ると、ようやく例の青年実業家が出迎えた。
「やあ、雪乃ちゃん!ごめんね、こんな所まで来てもらって。」
「ちょっと!どうして私がハワイにまでこんな大金を運ばなくちゃならないのよ!」
「あははは!」
「何が可笑しいのよ!第一、私、貴方の名前すら知らないのよ!どうしてハワイにまで私を呼び出したりするのよ!」
「いやー、いろいろ迷惑をかけちゃったものだから、お詫びをしたいと思って。このホテルでゆっくりバカンスでもって。まあ、部屋を取っておいたから、とりあえず行こうか。」

通された部屋は最高級のプレステージ・スイートだった。
「とりあえずこの部屋を10日ばかりおさえてあるから。でももっと居られるようなら僕に言って。それから、このホテルのサービスは全て僕が支払うようにしてあるから、食事でもスパでも気にしないで楽しんでね。ここのスパはおすすめだよ。毎日通ったらお肌スーッベスベだよ!」
雪乃は驚いて何も言えなかった。
「…あ、僕の名前は乾。乾剣之助。よろしくね。」

海を見下ろすシーフードレストラン。ワイキキでいま一番人気があるというブティックで剣之助が買ってくれたショッキングピンクのミニのワンピースを着た雪乃は、掘りの深い顔立ちからまるでハワイの芸能人のような輝きを放っていた。
豪勢なディナーをエンジョイしながら、女は、目の前にいる男をあらためてしげしげと見つめた。
「貴方って、本当に不思議な人。ねえ、どうしてあんなことしたの?」
あんなこと、とは、例のクラブでの行いである。
「ある人から頼まれたんだ。あの仁科って奴に赤っ恥をかかせて、行いをあらためさせて欲しいって。」
「…奥さん、ね?」
剣之助は笑顔で質問をはぐらかした。
「それよりさ、ハワイには何日くらい居られる?僕としてはなるべく長く居てもらって、ゆっくりして欲しいんだ。それが僕のお詫びのしるしだから。あ、それから、勘違いしないで欲しいのは、僕は僕でちゃんと部屋を取ってあるから。襲ったりしないから安心してよ。」
「…うれしいわ、剣之助さんの気持ち。ありがとうね…」
「えっと、それから、あのお金ぜんぶあげる。それでゆっくり仕事探して。」
雪乃は口に入れたロブスターの肉をうっかり飛ばしそうになった。
「ちょっと何言ってるの?冗談はやめてよ。」
「だって仁科は要らないって言ってんるだから、君にあげるよ。それでいろいろ許して欲しい。ごめんね。」
剣之助は頭を下げた。







★ 「大富豪、時々探偵。 ~放蕩夫にお仕置きを~」17につづく ★
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白夜

白夜 -hakuya-

Author:白夜 -hakuya-
アマチュア官能小説家


39才男性
都内某所にて
自営業の傍ら
あくまで趣味で
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普段は好感のもてる清潔な
そこそこイケメンです
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